「おばあちゃんに結婚式に出席して欲しい」
特別養護老人ホームに入所されている方のお孫さんから依頼があった。
このお孫さんのご両親は仕事で忙しく、おばあちゃんが自分の事を熱心に世話をしてくれたとの事。
家族は結婚式に集中したい事から、担当の介護士が結婚式に同席する事になった。
このお年寄りは認知症が進んでいてさっきした事を忘れたり、トイレの回数が多いことがあった。
介護士は「結婚式の最中に何回もトイレに行く事で式の雰囲気を壊してしまったらどうしよう･･･」と不安な気持ちがあった。
いざ結婚式が始まると、結婚式の雰囲気で本人が緊張したのか？介護士の不安が伝わったのか？本人のトイレの訴えが全くなかった。集合写真も笑顔で撮る事が出来て、式中は終始楽しい時間を過ごす事ができた。
施設に帰ってきてから、介護士が「お孫さんの結婚式に参加できて良かったですね」と声を掛けると、「そうだっけ？」と忘れられていた。
居室のベッド横に、本人が真ん中で笑顔で写っている結婚式の集合写真が飾られている。
介護士は居室に訪室する度、その写真を見て嬉しい気持ちになる。
