いつも笑顔でファーストフードが大好きな特養の男性入所者Aさん。
みささぎ会の施設に入所する前は認知症と暴力行為でことごとく近隣の施設から断られた。入所当時は落ち着きなくスタッフも大変だったが、時間の経過とともに穏やかになられた。
ある日、Aさん肺炎は病院に入院したが、入院先では食事が食べられず胃ろうをする事になった。
退院してからも胃ろうだったが、口から食べる事ができるようにリハビリを実施。少しずつ食べる事ができるようになった。
ある日、一年目の若い男性介護士が「何か食べたい物はありますか?」と聞くと、Aさんは「(フライド)ポテト食べたい」と言われた。
介護士は困って職場のいろんな人に相談した。同僚や上司だけでなく、医師も看護師も栄養士もリハビリのスタッフもみんな協力してくれることになり、Aさんがポテトを食べる事ができるリハビリが始まった。
ポテトを食べる日がやってきた。介護士は一番小さいサイズのポテトを買ってきてAさんの側で見守った。
Aさんは30分かけてゆっくりとおいしそうに全部食べた。その表情はとても満足そうだった。
今年で20年目のその介護士はポテトを見る度に、Aさんの事を思い出してほっこりする気持ちになる。